あなたがたが経験した試練はみな、人の知らないものではありません。神は真実な方です。あなたがたを耐えられない試練にあわせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えていてくださいます。
コリント人への手紙 第一 10:13
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真夜中に電話が鳴った。
カナダに留学中の娘からだ。時計を見るとちょうど学校のランチタイムだった。何事かと思い電話に出ると、なんと泣いているではないか。
事情を聞いて納得した。いや、納得というより哀憐の気持ちであった。
簡単に記しておこう。
娘が日本を発って2ヶ月、ホストファミリーとの関係は良好だった。美味しい食事に暖かいベッド、必要ならクルマで送迎してくれたり、夜はリビングで映画を観て過ごしたりしていると聞いていたからだ。
ところが3月中旬くらいからだろうか、いくつかの些細な連絡の行き違いがあって、それから娘に対しての接し方が冷たくなり、メールの文面も素っ気なくなった。
その程度なら、一時的なものかもしれないし、こまめなコミュニケーションを心掛ければ改善できるのではないかと思うだろう。しかしそうならなかった。
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1つ1つ具体的に記すことはしないが、ホストファミリーの態度に娘が心を痛め、結果としてホームステイ先を変更したいという気持ちになった。
現地には、Relationship Managerという、いわゆる私たちが親権を預けている方がいて、その方が娘と面談をしてくれた。
しかし、それで事態は収まらず、むしろ悪化してしまった。
なぜなら、彼女が娘の言い分を軽んじており、ホストファミリー寄りの態度を見せたからだ。相談した娘にしてみれば、それは裏切り行為に等しく、よって激しく失望させられたのだ。
それが冒頭の涙の電話だった。
私たちはそれを聞いて、娘に同情すると同時に、憤りを感じた。そして、受け入れ団体のMarketing Directorに直談判することにした。
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これらは娘にとって、さらに私たちにとっても試練である。
まだ解決の道が開かれていないが、それでも諦めることなく打ち手を考えては動いている。そして備えの道が開かれることを祈っている。
娘には、今日取り上げたパウロの言葉を贈り、神さまにすべてを委ね、失望しないこと、希望を持ち続けることを伝えた。
私たちの神は、乗り越えられないような試練を与える方ではない。試練の先には必ず希望の光がある。
最後に、ペテロの言葉も覚えておこう。
「あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです」
(ペテロの手紙 第一 5:7)