主は慈しみ深い。主に望みを置く者、主を求めるたましいに。主の救いを静まって待ち望むのは良い。
哀歌 3:25-26
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静まることの大切さを感じている。
もう随分前からある「コスパ」という言葉。正確な意味とは異なるが、消費者目線から、欲しいものが思っていたよりお値打ちに手に入れることができたときに「コスパがよかった」のように使う。
もとはビジネス用語で、かけた投資額(コスト)に見合う効果(パフォーマンス)が得られているかどうかを測る指標で、耳慣れた言い方だと、費用対効果と言ってもいい。
最近では「コスパ」に加えて「タイパ」という言葉も聞くようになった。
いわゆる時間対効果であるが、単に時間の有効活用や効率重視を表すキーワードに過ぎない。
ただ、ビジネスでコスパやタイパを振りかざし過ぎると、そのタスクを実行するのにどれくらいの時間がかかるのか、それによって得られる効果は何か、かけた労力や費用に見合うだけの効果が得られるのか、といったことが、何よりも優先すべき事項となる。
そのため、時間に追われ、余裕がなくなり、仕事を楽しむことができなくなる危険性がある。結果、心を蝕まれる。
いったん立ち止まらなければならない。立ち止まって、静まらなければならない。
*
今月末に中学生が洗礼を受ける。
私の教会は浸礼だから、礼拝堂にある浴槽に全身浸かる。この儀式の間、私たちプレイズチームは、受洗者から予めリクエストされた曲を演奏し、会衆とともに賛美する。
先日、受洗者からリクエストがあった。それは「静まって知れ」であった。
中学生の彼女がこの曲を選んでくるとは、驚きであった。なかなか渋い。
原曲は「STILL」といい、それは歌詞の「静まりあなたを知る」の元歌詞、I will be still and know you are God から来ている。
1
御翼の陰に隠し 力ある御腕の中に
逆巻く大海を越え 主と共に羽ばたく
我が父よ王なる神 静まりあなたを知る
2
キリストの中に憩い 信頼と主の力知る
いかずち鳴り渡る中 主と共に羽ばたく
我が父よ王なる神 静まりあなたを知る
https://youtu.be/uUsdxxv5c_w?si=bBfiiib1VDXwpTKW
*
いつも元気で賑やかな彼女から「静まって知れ」にしたいと言われたとき、いったいどんな想いでこの曲を選んだのだろうと思った。
小さい頃から教会に通い、神を信じることが当たり前に思われていても、日常の中でもしかしたら自分の信仰が揺らぐことがあったかもしれない。
祈りながら、歌いながら、神にすがるような気持ちを抱いたことがあるのかもしれない。
神の前に静まることの大切さを、その必要さを理解したのだろうと思う。乱れた呼吸を整え、荒れた心を癒やされる経験をしたのだろう。
この曲は、詩篇46篇から取られている。
ただ、stillを「静まって」と訳しているのは現代の訳にはなく、口語訳にある。
静まって、わたしこそ神であることを知れ。 わたしはもろもろの国民のうちにあがめられ、 全地にあがめられる。(詩篇 46:10)
コスパやタイパに追われる毎日ではあるが、立ち止まって、目を閉じて、神に思いを馳せる。
その時間を持つことが、イヤな言い方ではあるが、結果的に人生にとってコスパもタイパもいいのだ。
主の救いを静まって待ち望むのは良い。