あなたがたはキリストのからだであって、一人ひとりはその部分です。
コリント人への手紙 第一 12:27
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組織マネジメントにおいて、ダイバーシティとかインクルージョンとか言われて久しい。
最近ではそこにエクイティも加わり、DE&Iなんて言ったりする。
カタカナは難しい(なんとなく分かるレベルに留まってしまう)ので、日本語訳を見てみると「Diversity=多様性、Equity=公正性、Inclusion=包摂性」とあった。
このDE&Iは、外資系ヘルスケア企業で働いている友人に教えてもらった。
とかくDiversityだけが取りざたされ、女性従業員の比率を高めるとか、障碍者を積極的に雇用しようとか、表面的なことに終始するけどそれだけでは組織は活性化しないんだ、と。それから、EがEquality(平等性)ではなくEquity(公正性)なのがポイントなんだ、とも言っていた。
グローバルで働いている人にとっては、さらに国籍や宗教なども絡んでくるだろうから、Diversityだけ重視してもInclusion(包摂性=異なる意見や立場・文化・価値観などを受け入れ調和を図ること)がなければ、それは同じ目的を共有して働くチームではなく、ただのグループ・集団に過ぎないことを身をもって味わっているのだろう。
さらに、包括的に受け入れるためには、平等性ではなく公正性こそ大切であることも実感するのだろう。
が、しかし、言うは易しであろう。
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コリント人への手紙第一の12章は「からだ」を例に、一人ひとりが全体にとっていかに欠かせない存在であるか、説明されている。
読みながら、これはDE&Iのことだなと感じた。
いくつか節を抜き出す。
・からだが一つでも、多くの部分があり、からだの部分が多くても一つのからだであるようにキリストもそれと同様です(12:12)
・からだはただ一つの部分からではなく、多くの部分から成っています(12:14)
・もし、からだ全体が目だったら、どこで聞くのでしょう。もし、からだ全体が耳だったら、どこで匂いを嗅ぐのでしょう(12:17)
・もし、全体がただ一つの部分だとしたら、からだはどこにあるのでしょう。実際、部分は多くあり、からだは一つです(12:19-20)
・からだの中には分裂がなく、各部分が互いのために配慮しあう(12:25)
・一つの部分が苦しめばすべてが苦しみ、一つの部分が尊ばれればすべてが喜ぶのです(12:26)
実にわかりやすい。
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「からだ」を組織、「一つ」を一人、「部分」を人材に置き替えてみる。
すると、一人ひとりの人材には、与えられた役割があり、私たちは与えられた役割に従って働くことで組織に貢献する。
と解釈できる。
しかし、ここで言う役割は、Job Descriptionのように表面的に明示されているタスクに留まらず、もっと深いところ、もっと根本的なところにある役割を意味する。
役割と言ってしまうと、どうしても義務的なニュアンスが伴うから、やはりここはクリスチャンとして、神から与えられた賜物(ギフト)と言いたい。
賜物は私たちの存在意義に直結するから。
キリストという「からだ」を構成する私たち「部分」には、一人ひとりにオリジナルの賜物が与えられている。それがダイバーシティである。
エクイティやインクルージョンを兼ね備えることは難しいが、ペテロのアドバイスがある。今日の聖句と合わせて咀嚼することで、クリスチャンとしてDE&Iを実践するものでありたい。
それぞれが賜物を受けているのですから、神の様々な恵みの良い管理者として、その賜物を用いて互いに仕え合いなさい。(第一ペテロ 4:10)
受け取った賜物を適切に管理すること、用いること、そして互いに支え合うこと、これである。